ひねもすのたりのたり。

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ラスアス2ネタバレ感想

あのスーパー名作のThe Last of Usに続編が出る、ということで前作ファンの一人として給付金で予約して購入し、積みゲーが趣味と言われる私にしては大変早くクリアしたのですが、いや〜〜〜重かったです!ワクワクウキウキやれるようなゲームではなかったわ。

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世間的にも相当評価が割れたみたいでかなり炎上していた様子。勿論、高く評価する人もいて、賛否両論、という感じなのかな。私の感想は賛寄りですが、もう少し分かりやすく光があってもいいんじゃないかとは思いました。

 

おそらくシナリオの構成として、まずアビーをプレイヤーに心底憎ませて(その為にポッと出のディーナやジェシーではなく、前作の主人公であるジョエルを殺す必要があった)、エリーと共に復讐の旅を歩ませ、その中で「本当にここまでする必要があるのか…?」と疑問に思わせた後にアビーにバトンタッチ、アビー側にはアビー側の事情があったことを共感させる……という狙いで作られてるんじゃないかと思うんだけど、私はまんまとその狙い通りの感情を持ったので、ストーリーは苦にはならなかった。(戦闘は苦だった。ノーティドッグは「イージー」の意味を分かってないんだと思う)

でも、この後半部分の「アビーに共感する」っていうのが難しかった人が結構いたようで(その気持ちも何となく分かる。前作への思い入れが強ければ強い程、受け入れ難いと思う…)、その一点だけでクソゲー呼ばわりしてるレビューも結構たくさんあった。良くも悪くも、このゲームはアビーに対してどう思うかが肝なんだと思う。

 

アビーって、本当に考えれば考えるほど、もう一人のジョエルなんだよね。前作は記録のためにプレイ動画を撮ってたんだけど、そのエンドロールで私が泣きながら「ジョエルはさ、20年前にサラ(実の娘)を喪ったその日から、ずっと正気じゃないんだよね…」って言ってて、それが後から自分で聞いてもかなりしっくり来る感想だったんだわ。そして同じことが今作のアビーにも言えるんだよな…。父親を亡くしたその日から、ずっと大事な何かが壊れたままなんだ…。こうやって考えると、2周目プレイしても相当思うところありそうだな…。1周目プレイの時は、アビーの過去、お父さんを亡くすシーンも敵愾心が滾ったままのプレイだったので「ふん……まぁ、人ひとり殺すんだもん。そのくらいの理由がないとね」くらいの感想だったけど、今思い出してみるとお父さんめちゃくちゃ人格者だし、いつからか分からないけど多分お母さんはいないし、エリーを犠牲にするという苦渋の決断をしてまでも世界を救おうとする父親のことを、アビーは誇りに思って、愛してたんだろうなぁ…と…。いかん、書いてたら泣けてきた。

そうなんだよ、アビーは本当に悲しいんだよ。愛する父を喪ってから、復讐の鬼になって、そのことで彼氏であるオーウェンともうまくいかなくなって…。その元凶は、ジョエルのエゴであり、前作のあの偉大なラストシーンだっていうね…。今作のストーリーはこじつけだ〜、とか色々言われてはいるけど、後付けとは言えここまでの話を練れるノーティドッグ、流石だなぁ…と改めて舌を巻かされる。まさにplayする映画、だった。重厚なストーリーを楽しみたいならやる価値はあるのでは…あ、でも「ハッピーエンド以外は認めない!」だとキツいかな…。

 

W主人公構成とは言え、エリーがメイン主人公なのに、アビーの話ばっかりしちゃったな…。そういう意味では、ストーリーとしてどっちが共感出来るか、って言ったらエリーよりアビーなんだよね〜。エリーの旅は本当に復讐のための旅なので、気持ちは分かるけど、「こ、ここまでする…?」と、どうしても引いてしまった。特に、アビーの居場所を吐かせるために、もう感染したノラに「言えば楽に殺してあげる」と暴力を振るうシーン。このノラも、アビー編では友達思いのいい奴なんだ…。ボタンを押して、鉄パイプをプレイヤーに振り下ろさせるの、ゲームならではのえげつない演出やと思ったわ……。ボタン押さなければ、エリーはいつまでも憤怒の表情でノラを見下ろしてるだけだしね…(なので、殴らないという選択肢はない)

 

と、いうわけで、私はこのゲームを通してアビーというキャラクターが好きになったし、アビーを好きになれた人はこのゲームに賛の方の評価をつけるんじゃないかな、と思う。そんな感想でした。

 

余談①

アビーとオーウェンについて。

この2人の関係性、後から考えるとめっちゃ切なくなった…。思い合ったカップルだったのに、アビーが復讐に囚われたせいで、すれ違って別れることになったんだろうな…と。でも最初から最後までお互いのこと好きだったよね。だからメル(オーウェンの妻。妊婦)が、アビーに敵意剥き出しだったんだろうなぁ。メルがアビーにめちゃくちゃキレた時、「なんなのこの女?」と相当イラッとしたけど、落ち着いて考えたら、メルはずーっとアビーにオーウェンを盗られるんじゃないかと気が気でなかったんだろうよ…。例えばWLFを抜けて、サンタバーバラに行くとして、メルのことは連れていかないつもりだったけど(危ない旅だし、幸せに生きてほしいという名目で)、きっとアビーには一緒に行かないかと声をかけた筈で、そういうところがずっと、ずっと不安だったんだろうな…。ほぼほぼ的中してるしその懸念…。

と、いうようなことを考えると、あの詰り合いからの性急なセックスにも意味があるように思えてくるので、そこまで噛み砕く時間が欲しかった。(初見では、「えっなんでそこでセックス!?なんで!?一触即発だったじゃん!」と大混乱を来した)

 

余談②

ポリコレ配慮について。

エリーが同性愛者なこととか、アビーがムッキムキなこととか、レブ(リリー)が性同一性障害なこととか、人種が本当に様々だったりするとことか、よくまぁここまで詰め込めたな…と感心しました。そういう姿勢自体、素晴らしいと思う。(しかしそれでめちゃくちゃ叩かれているのも知っている。ポリコレ配慮に対して叩く人って、どういう感情なんだろうな…??)

何よりすごいな、って思ったのは主人公のエリーもアビーも、取り立てて美人ではないことですね。いやもちろん、不細工という訳ではないけど、一般的に言う美女の顔ではない。ゲームにおいてこれって結構凄いことだと思うんだよね。ゲームが進化してからこちら、ララ・クロフトといい、ジル・バレンタインといい、カーラといい、ゲームにおける女性主人公やヒロインはスーパー美女と相場が決まっている中で、めちゃくちゃ美人な訳でも、スタイルがいい訳でもない女性2人が主人公って、攻めるなぁノーティドッグ、とびっくりしました。

ただ個人的にはディーナとの恋愛関係はなくて良かったかな……。私は恋愛よりも深い友情の方が尊いと思ってるので、友人という立場のままで、ジェシーにモヤモヤしたり、妊娠したディーナを庇ったりした方が、よっぽどグッときた気がします。まぁでもこの辺は、私の好みの問題かな…。