ひねもすのたりのたり。

好きなものとか、日々思うこととかを記録しています。

仕事のことを徒然と③

 いきなりですが、私のなんちゃってエンジニアとしてのコンプレックスは、理系としての常識がないことなんですね。分かったような顔して、分かったような事を言ってるけど、基本的なことが全然分かってない。この前、結構自分で衝撃だったのは、先輩に教えてもらってる時に「濃縮ってどうやってやるか分かる?」と言われて、分かってなかったことです。濃縮工程なんて、何度もプロセスとして目にしてきてるのに、「蒸発とかさせて??液減らして濃くするんでしょ?」みたいなふんわりしたイメージでしか考えてなかった。
 実際話を聞くと、タンクの内部を、真空引き(その名の通り、真空ポンプで空気を吸って抜くこと)して、タンク内の圧力を下げると、圧力が下がる→沸点が下がることによって、溶媒が蒸発、それによって温度を挙げずにプロセス液を濃縮することができる……ということらしいんですよ。圧力が下がるから、沸点が下がるのか!って、めちゃくちゃ当たり前のことなのですが、目からウロコになりました。富士山のてっぺんでは、水は100度以下で沸騰するもんね。(今調べたら87℃でした。結構下がる~!)勿論、加熱して蒸発させる方法も濃縮って呼ぶんだけど、減圧濃縮することによって、熱を加えずに目的物質を手に入れることができるんだよね。めっちゃなるほどと思いません??いや、1X年目プラントエンジニアがこんなことでなるほど~と思ってちゃいけないんですが(本当に)、こういうなるほど~が面白くて今の仕事を選んでるところがある。
 こんな感じでプロセスもよく理解できてないのだけど、更に訳が分からないのはコンピュータ化システム関連なんですよね。用語からして本当に訳が分からない。そんな中、最近、めちゃくちゃお世話になっているのが”「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典”です。これ本当に素人にも分かりやすーく初歩の初歩から書いてくれていて、本当に助かる……。
 例えば先日、セキュリティの話で制御盤に鍵を掛ける話が出たんですね。この鍵はあれです、物理的な鍵です。PC上で動くシステムとかだと、パスワードとかでログインしてからしか動かせない仕様に出来るので、権限を持ってる人しか動かせなかったり、動かした人を特定できるのでセキュリティとしては問題ないのですが、制御盤のタッチパネルとかに入ってるシステムで、元々そういうパスワードを入力したり……っていう機能を持たないものもある訳です。で、それに対して、物理的な鍵を用意して、その鍵を使用する時に名前を書いて借りていく……みたいな運用を徹底することでセキュリティとしましょう、みたいな発想のもの。で、そういった設計や運用でのリスク回避策に対して、きちんとそれが実現しているかを検証するのが私の仕事だったりするのですが、まぁそれは主題ではないので置いといて。
 その話をしている時に「ここに保管しているデータがバイナリデータだけだとしたら、鍵自体が不要ではないかということにもなりますが……」みたいな会話があったのです。で、ここでド素人モヨさん。「バイナリデータ……?」となる訳ですよ。そこでさっきのサイトで検索すると、「バイナリデータとは、データのうちテキストデータ以外を指していて、コンピュータしか読めないデータのこと」ということが非常に簡単に書いてくれている訳です。
 で、戻って考えると、確かにバイナリデータ(=人が読めない、読んでも意味が分からないデータ)だったら、人が触れないのでそもそも鍵が不要……なーるほど!ってなる訳ですよね。いや~インターネットがある時代で良かった。そうなのです、私はこのレベルで仕事をやっています。
 
 ただ、こうやってよく分かってないことは強みでもある、と最近は開き直るようになってきました。と、いうのも、お客様も社内もベンダーさんも大体がエンジニアとは言え、みんながみんな全方向に強い訳ではないんだよね。プロセス屋さんだからプロセスに対してはよくわかってるけど、機械には疎いとか、そういうことはままある訳です。そんな中でお客さんに説明したり、ベンダーさんに指示する時、私が分かるところまで翻訳することでかなり分かりやすくなる事例もあると思うんですよ。専門性が高いと「あまりに当たり前過ぎて説明を省く」ということが起こり得るので。
 そんな訳で私はオールラウンダーにもスペシャリストにもなれない類のなんちゃってエンジニアだけど、それでも私みたいなのもこの業界にいてもいいんじゃないかな~と今は思うし、このまま出来ることを増やしつつ前に進んで行けたらな~と思ってる。
 「以前出来なかったことが、出来るようになる」というのが仕事における喜びだ、って以前書いたかどうか覚えてないけど、これと併せてもう一つ私が面白い、楽しいと思ってることがあって。それが「自分の言葉で説明できることが増える」ことです。これって本当に面白い。仕事に限らずだけど、今まで自分の中に無かったものを摂取して、咀嚼して、自分の言葉で説明する……そういうことが少しでも出来たら、やっぱり達成感あるなぁ、と感じるわけです。まぁ、そういう達成感を普段から感じているかというと、全くそんなことはないのですが。
 最近ちょっと、仕事に対してそういう根源的な面白さを思い出したので、ちょっと書いておこうと思ったのでした。